ハープの演奏:コンサート記憶帳⑩
- 普段利用している図書館のホールで、
ハープのソロ演奏があると聴き「ハープとヴァイオリンとピアノの競演」コンサートに出かけた。200人ほどのコンパクトなホールで、ほぼ満席。これまでオーケストラの一員として、遠くからハープを眺めていたことはあったが、室内楽風に、身近でハープを聴くのは、はじめてだった。2009年6月27日。
- 市の「男女平等参画課」が企画したコンサートで、「女性作曲家の名曲を楽しむ」との副題がついている。解説の女性(国立音大名誉教授)が話されていたが、きょうのプログラムは、日本では紹介される機会のない曲がほとんどで、結果自分の知っているものはなく、予備知識なし、初対面のハープ鑑賞だった。
- ペダル付きの大きなハープ。ダブル・アクション・ペダル・ハープ?と云うのだろうか?演奏者の解説では、47本の弦をペダルの上げ下げで、半音あげたり、全音あげたり、調整していくとのこと。ペダル操作と、両手の指で弦を弾く動作、よほどの訓練と研ぎ澄まされた感覚が備わらないと、さまにならない難しい楽器だなと、
感心しながら、聴きいった。 - 演奏は景山梨乃さんという1990年生まれ19歳で、紹介によるとハープではメジャーなコンクールである、パリにおける2008年リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクールで最高位(1位なしの2位)を獲ったなどの、前途有望の人らしい。
- 静かで控えめな感じながら、いったん演奏が始まると、自身の身体よりも大きなハープを、あたかも調教師が名馬を御するが如く、ある時は、ピアノのような澄んだ音色を、次のメロディでは、ボロローン♭~♯~と弦を共鳴させながら、曲を進めていった。(あとで調べたが、リリー・ラスキーヌはフランスの著名なハープ奏者で、レジオン・ドヌール勲章受章者。その国際コンクールが1993年から3年ごとに開催され、2008年はその6回目だったとのこと)。
- 私は持っていたオペラグラスで、景山さんの両の手が、47本の弦の、高音部(弦の短いほう)から低音部(弦の長いほう)へと、逆方向に低音部から高温部へと、そしてハープ(竪琴)の上から下へ、下から上へと、なめらかに、あるいは急な動きで、移動していくさまを飽きずに追っかけた。
- 右手の5本の指、特に両端である親指と小指の動きは、誰もいない静かな森の中の木々の間を飛び回る小鳥のように感じて不思議だった。メロディの節目になると、右手がピタリと弦を押さえて音が止む。私は照明の消えた客席、明るい舞台の上はハープと演奏者だけ。それを捉えるオペラグラスの限定された空間に、白い10本の左右のしなやかな指先が躍動するさまが、そのまま、深い森の中の小鳥の幸福なダンスに見えたのだった。小鳥の飛び回る木々すなわち47本の弦は、白、赤、黒に色分けされていて、ある種幽玄な彩りとなって、目に入ってきた。
☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀ ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀
- ハープの曲と云えば、モーツアルトの「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K299」が頭に浮かぶ。モーツアルトが母親とともに3度目のパリに行ったとき、フルートを演奏するアマチュア音楽家ド・ギーヌ公爵とハープを演奏するその令嬢のためにと依頼されて生まれたもの。モーツアルトはこの令嬢の作曲のレッスンもしていたが、出来の悪く苦労したとか、ド・ギーヌ公爵からは作曲の報酬の支払いがのびのびになって、相当カチンと来ていたとか………。だが、そんな話は別にして、あらためて聴いてみると、フルートとハープ、それぞれの魅力がいっぱい、互いに引立て合いながら、オーケストラに見事に調和して、しゃれたかつ華やかな協奏曲だ。今回のハープへの認識の深まりも重なって、この協奏曲はさらにお気に入りになりそうだ。
☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀ ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀
- 話がモーツアルトに飛んだけれど、滅多に聴けないハープのソロに出会えたこと、さらに、ヴァイオリンとハ-プ、ハープとピアノの若手演奏家によるコンサートを、身近で堪能できたことは、記憶に残る時間だった。
- 写真:2002年7月撮影。
| 固定リンク


コメント
ハープの音色は繊細ですばらしいのですが生演奏の機会には恵まれていません。そのハープと相性の良いフルートの演奏会が近くのホールであり出掛けて来ました。演奏者は齋藤舞歌さんで美貌で話し上手、そしてホームコンサートでしたので目前で楽しむことができました。初めて知ったのですが、アメリカ製のクリスタルフルートなるものがあり、彼女はその演奏家でもありました。現物をみましたが、音程により長短があり透き通つたクリスタルには彩色の模様がデザインされていました。音色については本来のオーソドックスな方が落ち着き、深みあるように感じました。ただ価格が安いので(1万円以下)ちょっと吹いてみるのにはよいかも。
投稿: suzuka | 2009年7月12日 (日) 18時21分
最近のフルートの記憶では、ドビュッシーの『「牧神の午後」への前奏曲』です。出だしに物憂げなフルートの独奏が、かなりの時間続きます。そのあとオーケストラにつながっていくのですが、フルート演奏者としては、腕の見せ所。逆に、曲の冒頭であり、指揮者、すべての楽団員、会場の聴衆、のすべての耳目がこのフルート奏者ひとりに集中するだけに、緊張は相当なものだろうと余計な心配をしてしまいます
投稿: kij | 2009年7月13日 (月) 03時19分