丹後半島一周 (丹後・舞鶴ー2)
<伊根の舟屋>
「男はつらいよ、寅次郎あじさいの恋」で、寅さんが、控えめに見えるが情熱を秘めた大人の女性、いしだあゆみに好意を持たれ、そのいしだあゆみが京都の陶芸家(片岡仁左衛門)の本拠から、故あって、田舎に帰る。その田舎が伊根の舟屋だった。
いしだあゆみが歌手から大女優へのみちを歩み始めた1982年(昭和57年)の作品。演技派の柄本明が落ち着いた演技で陶芸家の弟子の役。そして、なんといっても貫録だった片岡仁左衛門が堂々としており、これに我らが寅さんの渥美清は脂が乗り切って、ひょうひょうと、しかしどこかに憂いをこめてフーテンの旅をしていた。山田洋次監督が、なつかしい日本の原風景とも云える伊根の舟屋を舞台にした映画だった。
舟屋観光の伊根湾めぐり遊覧船は所要時間約25分、波静かな伊根湾を1周する。
舟屋は船の収蔵庫であると共に住居の役割も持ち、海面すれすれに建築されていて、伊根地区に230軒あるとのことだ。漁村では全国で初めて国の重要伝統的建造物保全地区の選定を受けている。
心地よい海の風を頬に感じ、哀愁を帯びた船内スピーカーの説明を聴く。遊覧船のデッキから、遠く、また、近くから舟屋を眺めるにつけ、ところ変われば、さまざまな暮らしがあるものだ、との旅情がこみあげる。
伊根湾めぐりのあと、丘陵地に設置されている「道の駅舟屋の里伊根(舟屋の里公園)」に上って、伊根湾を一望しながら、昼食にした。これまでかなりの数の道の駅に立ち寄ったが、ここの展望はその中でピカイチと言ってよい。
丹後半島の最北端に位置する経ケ岬灯台は、駐車場からやや急な坂道(階段がある)を15分ほどのぼったところにあった。犬吠崎(千葉県)、日御碕(島根県)、室戸岬(高知県)の各灯台と、同じクラスのフランス製レンズを用いた第1等灯台とのこと。今ではもちろん灯台守がいるわけではなく無人で、管理は完全自動化されている。鉄塔の上のアンテナが、灯台の重要な役目である電波塔として機能を物語っていた。
岬に立つと、日本海の彼方の北朝鮮が思われ、この日は真っ青で穏やかな日本海だったが、その波間に脱北の小舟が漂っていないかと、素人目を凝らしたのだった。灯台は海上保安庁が管理しており、近くには航空自衛隊の経ケ岬分屯基地がある。
<丹後松島、屏風岩>
絶好のドライブ日和の中、海岸線をひた走る。ゆく道々で、丹後松島とか、屏風岩などのスポットでクルマを止める。1,000年に一度の東北の大津波の怖ろしさは、一生忘れるものではないが、ここは日本海、穏やかな秋の日差しの下の海岸美は、絶景そのものだった。
3年前の夏に行った積丹半島の神威岬を思い出した。
この日の宿は夕日が浦というところだった。日没時刻の5時過ぎに宿に着いたが、あいにく厚い雲が出ていて、夕日の瞬間を楽しむことはかなわなかった。
蟹の季節はこれからで、この日の食卓に上らなかったけれど、エビ、ぶりをはじめとした海の幸、松筍の土瓶蒸しなどの料理に、舌鼓をうった。
追記:7年前の秋、山形県鶴岡市の湯の浜温泉で、日本海の夕日が海に沈む一部始終を見たことがある。時間があれば、⇒こちら を、クリックしてみてください。
<撮影日>2011年10月31日
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