2009年11月16日 (月)

お堂でみる阿修羅(興福寺) 奈良①

  • Ashura2 奈良興福寺で開催されている興福寺国宝特別公開「お堂でみる阿修羅」の展示を観てきた。

  • 「阿修羅」といえば、向田邦子原作のTVドラマ「阿修羅のごとく」を思い起こす人が多いと思う。八千草馨、加藤治子、石田あゆみ、風吹ジュン、そして緒方拳などの名だたる女優・男優たちが、登場したドラマで、その後映画にもなった物語である。

  • ある日、四姉妹の父親に愛人とその子供がいることが判明。母親に知られないように対応に気遣うが、自分たち自身の複雑な状況もあり、それぞれ対応に悩み、ぶつかり合う。「家族」「女性」を中心テーマに人間模様が書かれたストーリーだった。佐分利信の父親役、菅原謙次の「加藤治子の男」役などもよく覚えている(1979年の放送)。

  • そのドラマの題名がなぜ「阿修羅のごとく」だったのか?未だはっきりしないけれど、ともかく、今回展示の案内書をそのまま写してみる………『阿修羅は古代インド神話に登場する軍神で、最高神インドラに戦いを挑む激しい怒りの姿で表わされる。仏教に帰依して守護神となってからは、その激しさで仏教を守る役割を担うことになる。しかし、興福寺の阿修羅は3つの顔と6本の手を持つ異形であるが、直立する八頭身という見事なプロポーションで細身の美少年。憂いを含む表情は繊細で内向的であり、怒りや激しさは全く見られない。その背景には<金光明最勝王経>が説く過去の罪障を内省し消滅させる<懺悔>の思想があったものと考えられる』………

  • なるほど、あのドラマの登場人物は、みんな個性豊かで美人だったし、イケメンの良い男たちだった。手八丁口八丁、自己主張しながら、他人には知られたくない自らの世界を作り、それを互いに怪しんだり、隠したりまさに三面六臂(6本の手)の複雑人間たちばかりであった?? 極めつけは、騙されているとみんなが高をくくっていた地味な母親(佐分利信の妻)が、実はすべてを知っていて、娘たちのどたばたもすべて、見抜いていたというオチ………。

  • 話がそれたが、今回の展示は通常は国宝館に展示される阿修羅像をはじめとする八部衆・十大弟子像の現存する天平乾漆像14躰すべてを仮金堂に安置。天平の仏像たちと向き合い、それにプラスして、江戸時代に造られた本尊釈迦如来坐像、鎌倉時代の薬王・薬上菩薩立像と四天王立像も展示されていて、各時代を代表する豪華な仏像のオールスター総出演といったところだった。

Ashura4

  • 朝9時開館と聞いていたので、余裕を持って、少しは先駆けようと30分前に興福寺境内に着いたが、甘かった。まず、チケットを手に入れるためにもう300m近くの最後尾に並ばされる始末。それでもまだ早いほうで、次から次へと自分より後方に多くの人たちが続いていた。結局堂内(仮金堂の中)に入れたのは、2時間後!!

  • しかし、堂内に足を踏み入れると、さすがは阿修羅はじめ、超豪華な仏像群だった。後列中央の像高362cmの釈迦如来像がまず目に入り、堂内いっぱい、ぐるりゆるりと牛歩の足取りで進んでゆく善男善女のひとりとして、目指す阿修羅像はどこかと、暗い堂内に、老いたわが目の焦点を大急ぎで合わせるてみると、その釈迦如来のすぐ直前に153.4cmの細身八頭身、三面六臂の阿修羅立像が「私が主役」と、迎えてくれていた。

  • やがて列は進み、阿修羅立像の正面真向かい至近距離、せいぜい1mちょっと、大相撲でいえば砂かぶりの位置に出る。微笑んでいるような、考えているような、誘いかけているような、ためらっているような三面の顔、祈っているような、踊っているような、助けを求めているような、抗っているような6本の手………どんなに表現してもしきれない阿修羅だった。

  • 付け加えると、最近自分が目の治療中で、濃いめのサングラスをかけていたことから、図鑑で見た赤銅色のはずの阿修羅が、なんと黄金色に輝いて潸然と両の目に映じたことを、書き留めておきたい………。誰かが書いていたが、その美しさ・神秘性はダ・ヴィンチの「モナリザ」を凌ぐ………、わが全身五感が実感した瞬間だった。

  • Ashura1_2 表現しがたい感動と軽い疲れを覚えて堂外に出たのが11時少し前。振り返ると境内は、自分たちが待ち時間2時間だったころを、はるかに上回る人の列。はたして、あの方たちは、いつごろ阿修羅に出会えるかと、気にかけながら興福寺を後にしたのだが、同じ境内隣の国宝・北円堂が特別開扉されていて、運慶一門による本尊の弥勒如来坐像や無著・世親菩薩立像など鎌倉彫刻最高峰の名品がそろって展示されていることなど全く気がつかなかった。(冒頭のチケット写真左下には、未使用の北円堂分が残っているが、あとの祭りだった!!)。

  • 撮影:2009年11月15日。特別公開の会期は11月23日まで。

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2009年9月28日 (月)

横浜散歩③ 神奈川近代文学館

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  • かねて横浜の山手に神奈川近代文学館があり、そこには、夏目漱石関連の特徴的な展示があると聞いていたので、訪ねました。ただ実はこの朝、宿泊したすぐ近く横浜関内のホテルのスタッフに、「神奈川近代文学館は、どのあたりにあるの?」と尋ねたとき、すぐに答えが返ってこず、ネットで調べてもらうのに少し時間がかかりました。文学館というのは、その程度の地味な存在なのだろうと覚悟しながら、歩を進めました。

  • 山下公園から標識をたよりに、谷戸坂というなだらかな坂を上がって行くと、港の見える丘公園に出る。そこから、公園内を横切るような感じで歩いていると、橋の向こうに木立群に覆われた文学館の建物が見えてきた。

  • 神奈川ゆかりの文学作品を展示するというテーマに沿って、漱石の展示は、小説「門」の主人公野中宗助が市井の幸福な生活を送りながらも友Bunngakukann3 人を裏切った罪の意識に苦しみ門をたたいた鎌倉の円覚寺、同じく小説「こころ」の冒頭で、主人公の私が「先生」と出会う鎌倉の海水浴場をイメージして、初版本の装丁や、自筆原稿がならんでいました。

  • また、漱石が職業作家となってから50歳で亡くなるまでの10年間すごした東京早稲田『漱石山房』の書斎風景、「吾輩は猫である」のモデルとなった猫から三代目にあたる飼い猫を描いた絵「あかざと黒猫図」や最晩年の水墨画「秋景山水図」、さらには「文学論」の自筆原稿と赤インクでびっしりしたためられた生々しい推敲あとなども、見ものでした。

  • 漱石はいうまでもなく根っからの江戸っ子であり生活の拠点も、小説の舞台すなわち「三四郎」「それから」「道草」などの情景は、ほぼ大部分が東京なのに、なぜ遺品の数々が神奈川の文学館に保存されているのか、調べたことはありませんが、漱石とその時代を訪ねる、いい時間を過ごせました。………「明暗」の湯河原は神奈川でしたし、「彼岸過迄」にも鎌倉が登場した………。 

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  • 神奈川近代文学館は「神奈川の風光と文学」「神奈川と作家たち」がメインテーマであBunngakukann5 り、その企画のなかで展示されている作家たちは、キラ星のごとしといったところでした。

  • 夏目漱石から萩原朔太郎、芥川龍之介から中島敦、太宰治・三島由紀夫から現代まで………と、時代を追って、展示が続きましたが、谷崎潤一郎、川端康成、小林秀雄、開高健、そして私がある時期集中して読んだことがあり、今も本棚の奥に残している山本周五郎や立原正秋と、とりあげればきりのないくらいの展示でした。五木寛之、村上龍、島田雅彦など、現在活躍中の作家もいました。

  • 書き忘れました。森鷗外は横浜港からドイツに留学、帰国後、あとを追って来日したエリーゼ(「舞姫」のモデル)と横浜港で別れ、帰国させています。

  • 常設展の最後の方には若い時拾い読みした石原慎太郎のコーナーがあり、今でこそこわもての東京都知事さんですが、亡くなった裕次郎の映画写真も添えられて、懐かしく感じました。

  • 撮影日:2009年9月19日。

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2009年8月23日 (日)

エフゲーニ・オネーギン(プーシキン、チャイコフスキー)

  • 清里でフィールドバレエ「タチヤーナ」を見たのを機会に、その原作であるプーシキンの小説「オネBarehonn ーギン」(岩波文庫)を読み、チャイコフスキーのオペラ「エフゲーニ・オネーギン」のDVD(bs2の録画)をもういちど見直しました。

  • 物語をふりかえると、19世紀のロシア。内気で繊細な少女タチヤーナは、ペテルブルグの青年貴族オネーギンの都会的で虚無的な雰囲気に一目で惹かれてしまう。彼女はオネーギンに一通の手紙を書くが、その返事は意に反して理屈っぽく冷ややか。時は過ぎ、外国の放浪生活を終え首都に帰って来たオネーギンは、舞踏会で美しく変身したタチヤーナと再会する。すでに結婚していた身のタチヤーナ。今度はオネーギンが彼女宛に手紙を書き愛を訴えるのだが、時すでに遅く、彼の愛が受け入れられることはなかった………

  • まず原作のプーシキンの小説、もちろん日本語訳Bareopera4_2 だけれど、『韻文小説』といわれる流れるような文章で、当時のロシアの片田舎の風景、 後半ではモスクワ、ペテルブルグといった重厚ではなやかな社交界とそこでの人間模様が描き出されていました。

  • 『………あなたは前から私の夢に現れておいででした。姿こそ見えね、私はあなたをいとおしく存じておりました。秀でたあなたの目差が私を悩ませ、あなたのお声が胸いっぱいに響き渡っておりました、とうの昔から。………いいえ、それは夢ではありません! あなたがお見えになったその瞬間に、私ははっと気がつき、体じゅうがしびれて燃えはじめ、心の中で「ああ、あの方だ!」と叫びました………』。タチヤーナがオネーギンに夜を徹して綴った手紙の一節ですが、実になまなましく、かつ、なまめかしい。さすがロシア文学史上にそそり立つ文豪プーシキンといったところ。

  • 次いでDVDだけれどオペラの展開。東京のオペラの森公演(2008年4月)、小沢征爾指揮のチャイコフスキーに乗って、透けるように美しいタチヤーナ(イリーナ・マタエワ、田舎娘というよりすっきりした都会的な印象、原作と比べれば少女というよりずっとおとな。ソプラノ)が、眠れない夜に輾転反側、呻吟しながら手紙をしたためるアリアが歌いあげられる。美しい人、演技もひたむき、ちょっと一本調子だけれど、原作の深みを思い出しながら聴いていくと、歌手が表現しようとする少女(………画面は水も滴るロシア美人だが)のひたむきな切ない心情が伝わってきました。

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  • 舞台は進みオネーギン(ダリボール・イェニス、髪ふさふさのロン毛。バリトン)がタチヤーナに分別くさい返事の説教をする場面、時を経て主客入れ替わり、社交界の貴婦人となったタチヤーナがオネーギンを振り切る場面などが繰り広げられますが、いずれも、プーシキンの原作(翻訳だけれど)を照らし合わせると、より興味深く感じられました。画面では少女と青年貴族というよりも、熟れきった女性と気の多い悩める中年管理職という感?がしないでもなかった。そこは、そのような後ろ向きの見方は抑え込んで、小沢征爾のチャイコフスキーに浸った方が実りも多いと思いました。

  • オペラは主役二人のほかに、オネーギンの親友レンスキーとタチヤーナの妹オリガの愛の交歓、オネーギンとレンスキーの決闘など見せ場が続く。ただタチヤーナの妹オリガ(エレーナ・カッシアン)の堂々たる体格で陽気なのはわかったが、レンスキー(マリウス・ブレンチウ)が禿頭だったのは、夢多くオリガへの愛を歌い上げる青年詩人という感じからは程遠くて、まあ、あきらめるしかありませんでした。

  • ややとりとめがありませんが、原作~オペラ~清里でのフィールドバレエと、ロシアの世界、そしてプーシキン、チャイコフスキーに一通り触れられたことは、この夏のいい記憶でした。

  • Photo最後にプーシキンの銅像。一昨年サンクトペテルブルグを旅行した際、エカテリーナ宮殿隣接の学習院裏手で撮ったもの。この時はまだ、プーシキンの名前だけしか知らず、パチパチと収めていただけだったが、今回を機にblogに掲載出来、『我がプーシキン』として身近になったことを報告しておきます。

  • ついでにもうひとつ。「オネーギン」では、前述のように主人公オネーギンと親友レンスキーとの決闘場面があるが、原作者は後に、妻に執拗に言い寄るフランス人近衛士官に決闘を挑み、決闘で受けた傷がもとで、その2日後に息を引き取るという、超激しい37歳の生涯の終わり方!!、恐れ入りました。

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2009年8月17日 (月)

清里フィールドバレエ「タチヤーナ」:清里③

  • Breeposta ことしが20回記念公演という「清里フィールドバレエ」を鑑賞した。清里高原萌木の村特設野外劇場で、2009年8月7日、夜8時からだった。

  • 四国九州地方に大雨を降らせていた台風の影響で、清里のこの日は朝から雨模様、夕方になっても激しい雨。前売りチケットがフイになるかと半ばあきらめていたが、ともかく会場に行ってみたら、もやもやながら直前に雨が止み公演開始、2時間後の終了時には、動きの激しい雲間に満月が見え隠れするという幸運に恵まれた。人間、あきらめてはいけない。雨のあがるのを待つ主催者の粘りには感心させられた。

  • 演目はチャイコフスキーのオペラ「エフゲーニ・オネーギン」を、当日のバレエ団である『バレエシャンブルウエスト』が、オペラのヒロイン‘タチヤーナ‘に光をあてバレエ化したもの。チャイコフスキーのバレエと云えば、ポスターにもあるとおり「白鳥の湖」「くるみ割り人形」がメジャーなのだが、この‘タチヤーナ‘は、文化庁芸術祭で大賞を受賞、本場サンクトペテルブルグ、モスクワなどの公演でも好評だったという。

  • 高原の夜、森の木立や雨をいっぱい吸い込んだ緑を背景に、舞台だけが明るく浮かび上がってバレエがはじまり、ダンサーの流れるような躍動が素晴らしかった。オーケストラ付きの音楽となっていないのは欲張りすぎというところだが、チャイコフスキーのメロディが随所に奏でられ、19世紀のロシアの片田舎の少女タチヤーナの恋、それを袖にした青年貴族オネーギン、オネーギンと親友レンスキーの決闘…………、ほぼオペラの展開に忠実に演じられていった。

  • 年が経ちペテルブルグの社交界の貴婦人となったタチヤーナに、放浪生活をしていたオネーギンが、今度は逆に胸の内を打ち明ける。タチヤーナの心は揺れるが、失った過去に戻ることはなく、オネーギンに別れを告げる…………

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  • チャイコフスキーのオペラ「エフゲーニ・オネーギン」は、2008年4月に東京オペラの森公演で、小沢征爾指揮で演じられていて、そのDVD(bs2録画)を見たことがある。さらに、清里から帰った後、原作であるプーシキンの「オネーギン」を、岩波文庫で読んでみた。それらをふりかえって、バレエが表現しようとした内容の理解が深まり、あらためて清里高原の夜の幽玄な舞台を思い出し、夏のひと時、あざやかな記憶が刻めた。

  • ひとつ、失敗だったのはオペラグラスを持参するのを忘れた結果、ダンサー達の表情や、ダンスの展開にともなう筋肉の動き、足首や指先の微妙な表情などを、うかがうことができなかったこと。

  • なお、東京オペラの森公演と岩波文庫の感想については、次回、日を改めて紹介させていただきます。

  • 写真は、公演終了後のカーテンコール。この時間に限って撮影OKとなり、ダンサー達がポーズもしてくれたが、わがコンパクトカメラでは、速い動きについていけなかった。残念。

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2009年7月22日 (水)

西教寺(大津市坂本町)と明智光秀

  • Saikyouji3_2 比叡山ドライブウエイから、坂本に下りたところで、西教寺の門前に通りかかり、立ち寄ることにした。40年ほど前に訪ねたことがあるような、ないような、自分の中で存在の不確かな記憶を、あらためてたどりつつ、一歩一歩、石畳の参道を上って行った。

  • 総門をくぐって参道に出ると、両側に、寺院(子院)が続き、中にはかなり大きなお堂もあり、どこが本堂なのかわからない。そのうちのこれが本堂かな?と思って上がり込んだところで、はじめて僧侶が何か作業をしておられたので、「本堂はどちらですか」と、間の抜けた問いかけをして、「もっと上の方ですよ」と軽くいなされる始末。

  • 調べてみると、西教寺は、天台宗総本山の延暦寺や、天台寺門宗総本山の三井寺に比べ知名度は高いとは言えないが、天台系仏教の一派である天台真盛宗の総本山として、400か寺以上の末寺を有するという。わたしはここに明智光秀の供養塔があることは知っていたが、まさか、総本山との認識はなかったので、その境内の威容に、はじめて納得した。

  • Saikyouji1 ようやく本堂にたどり着いた。広い敷地を圧するがごとく、堂々たる建物が目に入った。総欅入母屋造。江戸時代 元文4年(1739)に上棟落成。用材は紀州徳川家からの寄進されたとのこと。

  • 人の気配のないお堂の中から間を置きながらのカーン、カーンという鉦の音がする。恐れながらと、正面の障子の扉を開けて、中にはいった。鉦の音の合間に、尼僧と思われる女性の低い読経の声が、ゆっくりつぶやくかのように耳に入ってくる。

  • ご本尊の、重要文化財の丈六の阿弥陀如来(平安時代・定朝様式)さまに、お手をあわそうと、一歩二歩前に進んだ。と、いきなり読経の声が止み、「入ってはいけませーん」という鋭い声!……。はっとして、きょろきょろ遠く右手の方をみると、ご本尊に向って座っている尼僧らしき姿が目に入った。どうやら、気がつかない間に一線を超えた(超えそう?)らしい。あわててその場で合掌して、本堂をあとにした……。

  • 外に出ると、また何事もなかったように、鉦の音と低い読経の声が、静かに聞こえるだけだった。後述するが、私は、「不断念仏」を唱える尼僧の行を、妨げたらしい。

  • 本堂を出てすぐ立派な鐘楼が目に入った。この鐘楼は、明智光秀との因縁がSaikyouji2 あるようだ。すなわち元亀2年(1571)の織田信長の比叡山焼き討ちの際、当寺も災禍を被り、その直後に築かれた坂本城の城主となったのが明智光秀。光秀は西教寺の檀徒となり、復興に力を注いだという。総門は坂本城城門を移築したもので、そして、鐘楼堂の鐘は陣鐘だとのこと。天正10年(1582年)に54歳でこの世を去った光秀はその6年前に亡くなった内室熙子や一族の墓とともにここ西教寺に祠られている。

  • 前後するが、総門をくぐってすぐ左に『文学ゆかりの地』という立看板があった。三浦綾子の小説「細川ガラシャ夫人」の一節から「鉦の音」と題する一文だった。以下全文を写し取ってみたい。Saikyouji4_2

  • 西教寺はもう目の前にあった。しんと静まったあたりの空気に、本堂の方から鉦を叩く音が聞こえてくる。その音が、一層静けさを深めている……、カーン、カーンと間をおいてひびいてくる。静かだ。いかにも静かである。やがて、光秀がいった。……「人間、この音色のように澄みたいものじゃが……」

  • 「お父上様は、澄んでおられます。」玉子はまじめな顔でいった。「ほう、お玉の目には、父が澄んでうつるか?」「澄んでおりませぬか」……老僧はふり返りもしない。無心にただ鉦を鳴らしつづけている。なるほど(不断念仏)じゃ……
  • ここに来て、光秀はいつもふしぎな気持ちになる。自分たちが、血なまぐさい戦場を駆けめぐっている時も、広いこの本堂でに黙然と坐って、この老僧は、念仏をつづけていたのかと思う。恐らくこの僧の一生は、南無阿弥陀仏の六字を称え、鉦を鳴らすことだけで終わるのであろう。その老僧の心はわからない。が、尊いことに光秀は思う。

  • 戦争、強奪、疫病、災害などの絶えぬ世に、こんな一生を終る僧がいることは、言いようもなく尊いことに思われるのだ。

  • 「あー、これは、これは、御領主さま。」「御来山を存じませず、まことに失礼いたしました。」「いや、用があればわしが出向く。わしは、この不断の鉦がすきなのじゃ。」

  • 坂本城に移ると同時に、光秀はこの西教寺の復興に力を貸した。信長が比叡山を焼く時も、光秀は全山のために慎重な配慮をした………。

  • 小説「細川ガラシャ夫人」は女流作家三浦綾子先生が昭和四十八年一月から二年五ケ月に亘って執筆。初めての歴史小説。この小説の中に「鉦の音」「?」の中に光秀が坂本城主になってから、西教寺の不断念仏の鉦の鳴る本堂へ、妻煕子、末娘玉子(細川ガラシャ夫人)、左馬助光春(家臣)、郎党を連れての参詣の様子が描かれている………。

  • <注>お玉(玉子)とは、光秀の3女で、後の細川忠興の正室。俄羅奢。キリスト信徒(キリシタン)として有名。

  • 少し長くなったけれど、立看板(文学碑)をあらためて読み、作家の表現の巧みさに、感じ入るとともに、あの時、本堂で聞いた尼僧の読経の声と、鉦の音が再び蘇ってきた。

  • 撮影:2009年5月11日。

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2009年6月27日 (土)

軽井沢、浅間山:更科紀行⑥完

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  • 「更科紀行」を訪ねるバスツアーの最後の記事は軽井沢。芭蕉は信州更科の月を見て8月20日ごろ江戸に帰っているが、姥捨から小諸を通り、軽井沢を経て、碓氷峠を越えるルートだったと思われる。

  • 今度のバスツアー1泊2日の第一日目が、立川を出発して木Karuizawa3_2 曾奈良井宿と長野善光寺。その善光寺では7年に一度の御開帳に巡り合わせ、その夜、善光寺の奥座敷と云われる上山田温泉に泊った。源泉豊かな上山田温泉で鋭気を養った2日目は、朝一番に姥捨と棚田を旅館の若社長の案内で訪ね、芭蕉の更科紀行の足取りをたどった。次いで小諸懐古園と高浜虚子記念館で、島崎藤村や高浜虚子の文学散歩、そして、いよいよここ軽井沢をバスツアーの最終の降車スポットとした。

  • 軽井沢に特別の芭蕉の記録があるわけでなく、ここでは約1時間の自由時間をとった。5月末の小雨まじりでやや肌寒かったが、私は、結婚式で2,3度立ち会ったことのある軽井沢聖パウロカトリック教会まで足を伸ばした。教会の前には、ちょうどその結婚式に参列しようという若い人たちの姿が、どの顔も笑顔、それぞれ軽快に着飾って、お祝いのはなやかな空気がいっぱいだった………。

  • 引き返してミカドコーヒーに立ち寄り、ここまでの旅行幹事の役割が、どうやら無事終われそうだと、ひとまず安堵の時間を過ごした。

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   吹きとばす石ハあさまの野分哉

  • 「更科紀行」で芭蕉が小諸から軽井沢あたりの浅間山のふもとを通る時に、その風景を詠んだものだが、この句形に落ち着くまでに、何度も作り直しをしていることを、その後の勉強会で知った。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 句意:浅間山に吹き荒れる野分が、山肌の石を烈しく吹き飛ばす。その石まじりの野分のものすごさが、いかにも浅間山にふさわしい。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 最初は「秋風や石吹きおろす浅間山」、次に「吹きおろすあさまは石の野分哉」と作り直し、吹きおろすのところを「吹き落すあさまは石の野分哉」と直し、さらに「吹き落す石はあさまの野分哉」と直し、それでも物足らなくて「吹きとばす石ハあさまの野分哉」と決めたと云われる。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 漠然と浅間山が浮かんでいる最初の句が、次第に、活火山である浅間山の荒涼とした浅間山の野分風景は、普通の野分が『草木をなびかせて吹き荒れる』のに対し、最終句では『石を吹きとばす野分である』と詠んだところが、さすが芭蕉……

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 句評:推敲課程で「あさまは石の野分」という形であったことでも明らかなように、一句の眼目は「石の野分」という珍しい趣向にある。すなわち普通の野分は草木を分けて吹きすさぶものであるが、ここ浅間山の野分は石を吹き飛ばして荒れ狂うというのである。またその風の浅ましさ(驚きあきれるさま)を倒装法を用いて、山の名に言い掛けて表現したのがもう一つの自慢。堀信夫「松尾芭蕉全発句」(句意、句評は芭蕉を読む会山崎章次先生講義録による)。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 芭蕉の「更科紀行」は、この「吹きとばす……」の句で終わっている。我々の全6回の記事もこれでおしまいです。お読みいただきありがとうございました。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 撮影日:2009年5月30日。3枚目は2004年8月。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                | | コメント (1) | トラックバック (0)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                2009年6月24日 (水)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                小諸高浜虚子記念館:更科紀行⑤

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 俳人高浜虚子は太平洋戦争の戦火を避けて、昭和19年9月から22年10月まで、Kyosi4 小諸市に疎開したが、その記念館があり、当時虚子が実際に住んでいた「虚子庵」とともに公開されていた。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • これまで私の中の高浜虚子は、漱石の「吾輩は猫である」を俳誌「ホトトギス」に登場させた才人、正岡子規と同じ松山出身で、子規から学問の後継者にと切望されながらそれをきっぱり断った男、そして、今日TVなどでよく見かける孫の稲畑汀子のおじいさんという風に、主役ではなく、主役の引き立て役としての存在だった。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • ふしぎなもので、「虚子庵」に上がり込み、また、記念館に展示されている虚子の代表Kyosi3 句十二句を認めた直筆の「六曲一双」の屏風を目の前にして、私は瞬く間に、虚子という人が、現代俳句界に大きな影響力を残す存在であったという「まぎれもない主人公」である事を、強く認識させられた。まさに、ほんものの迫力なのだろう。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • なかでも記念館のメイン展示物である六曲一双の直筆屏風は、虚子の一句一句にあふれる大きな作風に、作者自身の性根の入った力強い筆使いが感じられて、圧倒された。ここで、正確に12ケ月に配された屏風の12句を読み上げる気持ちで、いくつかを思い出してみる。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     山寺の宝物見るや花の雨

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    神にませばまことうるはし那智の滝

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    遠山に日の当りたる枯野哉

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    大空に伸び傾ける冬木哉

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Kyosi1_2

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀   ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • Kyosi2 「虚子庵」の入口に句碑があった。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   人々にさらに紫苑に名残あり

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 虚子が終戦後昭和22年10月に、小諸を去るにあたって、世話になった人々に感謝の気持ちをこめて歌ったものだろう。碑のまわりには紫苑の青い葉がいくつか顔を出していた。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 撮影日:2009年5月30日。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                小諸「懐古園」、島崎藤村:更科紀行④

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • Kaiko4 芭蕉の「更科紀行」を訪ねる途上で、小諸「懐古園」に立ち寄った。木曾義仲の武将小室太郎光兼なる人物が最初に館を築いたという、遠く鎌倉・平安の時代までさかのぼる古城である。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • エントランスにあたる三の門は1615年に創建、その後大洪水での1765年再建のものがいまに残っているとのことで、よく見ると両の塀には、矢峡間や鉄砲峡間がある、戦闘的な建物だ。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 浅間山のふもとに位置する小諸、この日は、さわやかな5月の高原の風が古城の新緑を柔らかに揺らしていた。下左黒門橋、下右天守台石積と馬場。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Kaiko10 Kaikoyk1                       

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Kaiko9 Kaikoyk3                                 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • もう一つは「惜別の歌」の歌碑。『遠き別れに耐えかねて この高楼に登るかな 悲しむなかれわが友よ 旅の心をととのえよ…………』。一緒に旅をしたわが古典講座のY先生が、この碑の前で小林旭顔負けの独唱をされ、緑の薫風の中で、それに一同が自然と唱和する、思い出深い懐古園見学となった。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Kaiko6 Kaiko7                                              

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀   ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 撮影日:2009年5月30日

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Kaiko5 Kaiko11

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                姥捨、田毎の月: 更科紀行③

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Ubasute2 Ubasute6                                   

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 芭蕉が「更科紀行」の旅をした貞享5年(1688年、45歳)の春から夏は、「笈の小文」の最後の訪門地須磨・明石のあと、京都、大津、岐阜、名古屋各地で、多くの門人たちの歓待を受けたり、新しい門人の入門があったりと、すっかり有名人となり、世間からもてはやされた時期であったといわれる。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • しかし、こうした日々は、脱社会、脱体制を志した芭蕉にとっては、いったん飛び出した世俗的秩序にまた組み込まれることになり本意ではなかったはず。これではいけないと、門人のいないわびしい山中の旅をひそかに考え、岐阜から木曾路を通り、信州更科に行って、名月をみようと反省・構想されたのが、「更科紀行」の旅であった(井本農一、芭蕉入門)。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • われわれのツアーも、その更科姥捨がハイライトだ。まずは、朝、上山田温泉の旅館を早々と立って、JR姥捨駅に上った。入場記録に08時13分と云うのがその証明。眼下に「田毎の月」を映す棚田、姥捨伝説の冠着山、はるか前方の川中島、そして善光寺平の中央に長野市街などが展望された。写真をクリックして拡大してみてください。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Ubasute4 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Ubasute3_4

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • この日のガイドは前夜泊まった旅館の若社長。我々のために芭蕉の更科での足跡にはじまり、地元の姥捨伝説、川中島合戦絵巻に至るまで、少し降りだした雨をものともせず熱弁をふるってくれた。この日は、たまたま「棚田のオーナー」による田植エベントで、この日のために都会から田植にきたオーナーたちも、われわれのガイドを遠巻きにして、聴いていた。写真は左がその様子、右が、観月の名勝、長楽寺の「芭蕉翁面影塚」と観月台をバックにした、わが一行のすました様子で、最前列サングラスが筆者(v^ー゚)。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       俤(おもかげ)や姥ひとりなく月の友  芭蕉

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 句意:姥捨山に月を見ていると、捨てられてひとりで泣いている老婆の面影がうかんでくる。その面影を今宵の友として月をながめよう。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 句評:この句は直接謡曲(世阿弥の『姥捨』)を踏まえたもので、曲中の老女が白衣の袂を翻して、月下に舞う幻想的イメージを俤にしているところがすばらしい。この句は月天心に至る夜更けの姥捨山の旅情を詠んだ句と芭蕉自らが自注している。宵の間は名所の月見に浮かれた観光客でひとしきりにぎわった姥捨山も、月天心に至る深夜には一人として残るものもなく、芭蕉ひとりが、山中に捨てられたという姥の俤をしのびながら、そこに立ち尽くしていたというのである。たしかに、芭蕉のいう通り、姥捨山の本意は、深夜の月の光をただひとりで詠めるところにある(堀信雄、『松尾芭蕉集 全発句』)。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    元日は田毎の日こそこひしけれ  芭蕉

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • この旅の翌年、芭蕉は知人あての書簡で「去秋は越人といふしれものと木曾路を伴ひ、桟のあやうきいのち、姥捨のなぐさみがたき折、きぬた・引き板の音、しし(鹿)を追ふ声、あはれも見つくして、御事のみ思ひ出候。としは明ても猶旅の心ちやまず」とし、この句を提出している。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 句意:前年の秋、中秋の名月を信州更科に賞し、その折「田毎の月」を眺めたが、新しい年の元日を迎え、「田毎の月」ならぬ、初日の映る「田毎の日」はどんなであろうかと、更科が恋い慕われることだ。「更科紀行」の旅の翌年の歳旦吟で、月の名所である「田毎の月」を「田毎の日」と換骨奪胎したところに俳諧性がある。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  ☁☂☁☂☀ ☁☂☁☁☀

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 撮影日:2009年5月30日。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 関連記事:同じ仲間で、昨年芭蕉の「鹿島詣」を訪ねている。下記をどうぞ。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   芭蕉:「鹿島詣で」へ 2008年5月22日

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   鹿島神宮 2008年6月2日

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   根本寺 2008年6月4日

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                | | コメント (0) | トラックバック (0)

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                木曾奈良井宿: 更科紀行②

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • Sarasinamap_2 芭蕉の「更科紀行」を訪ねるバス1泊旅行の記録、第2回は木曾路奈良井宿。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 1日目朝早く、立川を出発して中央道八王子IC→長野道塩尻1Cで降り、中山道木曾11宿のうち、西から数えて5番目の奈良井宿に着いたのは、お昼前11時頃。笹子トンエルまで強く降っていた雨が、甲信にはいると、ほとんど小止みになっていた。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 「更科紀行」で芭蕉が経過した地点は、桟(かけはし)・寝覚・猿がばば・たち峠が記されているだけで、奈良井宿が特別記録されているわけではない。が、木曾路の嶮難を歩いた往時の芭蕉を追体験する主旨で、難所鳥居峠の麓にあって、江戸時代には「奈良井千軒」と云われるまでに栄えたこの宿場を訪ねた。ここは、有名な妻籠宿とともに国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Narai4 Narai5                                              

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                ~~~~~ ~~~~~

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Narai1 Narai3                                              

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                ~~~~~ ~~~~~

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 街並みは、よく保存されていた。我々のようなその日だけの訪問者にとっては、大変ありがたいのだが、実際この地に住まう人々が、電気・ガス・水道・IT・冷房暖房など、不便をしのいで保存するのは、並大抵ではなかろうと推察する。人通りもほとんどなく、道端で立ち話をするお年寄りの顔も見かけない街が、どうして、今日を生き延びているのか、いささか心配になった時間だった。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    桟(かけはし)やいのちもからむつたかづら  芭蕉

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 句意;まことに恐ろしげな木曾路の難所として聞こえた桟橋だ。蜀の桟道さながら足もとすくむ千尋の断崖に桟道がかかっている。見ればその桟に燃えるように美しい蔦紅葉が命限りとからみついてゐる。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                • 句評:堀信夫「松尾芭蕉全発句」……一句は和歌や連歌に難所として名高い木曾の桟を俤にして、それに深山幽谷らしい当季の蔦かづらをあしらったもの。現実の景(決して危険ではない)に拠ったものではない、「いのちをからむ」という言葉を導き出したところに作者の手柄がある。「いのちをからむ」とは直接的に「蔦が美しくも危ういその命を、かろうじて桟道にすがって保っている」さま。その情景にそこを渡る人間の気持ちに託し「人界なおしかり」と観相の意味を含ませているのである。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                Naraimap Naraimap2                                             

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 ~~~~~ ~~~~~

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                | | コメント (0) | トラックバック (1)