横浜散歩③ 神奈川近代文学館
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- かねて横浜の山手に神奈川近代文学館があり、そこには、夏目漱石関連の特徴的な展示があると聞いていたので、訪ねました。ただ実はこの朝、宿泊したすぐ近く横浜関内のホテルのスタッフに、「神奈川近代文学館は、どのあたりにあるの?」と尋ねたとき、すぐに答えが返ってこず、ネットで調べてもらうのに少し時間がかかりました。文学館というのは、その程度の地味な存在なのだろうと覚悟しながら、歩を進めました。
- 山下公園から標識をたよりに、谷戸坂というなだらかな坂を上がって行くと、港の見える丘公園に出る。そこから、公園内を横切るような感じで歩いていると、橋の向こうに木立群に覆われた文学館の建物が見えてきた。
- 神奈川ゆかりの文学作品を展示するというテーマに沿って、漱石の展示は、小説「門」の主人公野中宗助が市井の幸福な生活を送りながらも友
人を裏切った罪の意識に苦しみ門をたたいた鎌倉の円覚寺、同じく小説「こころ」の冒頭で、主人公の私が「先生」と出会う鎌倉の海水浴場をイメージして、初版本の装丁や、自筆原稿がならんでいました。
- また、漱石が職業作家となってから50歳で亡くなるまでの10年間すごした東京早稲田『漱石山房』の書斎風景、「吾輩は猫である」のモデルとなった猫から三代目にあたる飼い猫を描いた絵「あかざと黒猫図」や最晩年の水墨画「秋景山水図」、さらには「文学論」の自筆原稿と赤インクでびっしりしたためられた生々しい推敲あとなども、見ものでした。
- 漱石はいうまでもなく根っからの江戸っ子であり生活の拠点も、小説の舞台すなわち「三四郎」「それから」「道草」などの情景は、ほぼ大部分が東京なのに、なぜ遺品の数々が神奈川の文学館に保存されているのか、調べたことはありませんが、漱石とその時代を訪ねる、いい時間を過ごせました。………「明暗」の湯河原は神奈川でしたし、「彼岸過迄」にも鎌倉が登場した………。
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- 夏目漱石から萩原朔太郎、芥川龍之介から中島敦、太宰治・三島由紀夫から現代まで………と、時代を追って、展示が続きましたが、谷崎潤一郎、川端康成、小林秀雄、開高健、そして私がある時期集中して読んだことがあり、今も本棚の奥に残している山本周五郎や立原正秋と、とりあげればきりのないくらいの展示でした。五木寛之、村上龍、島田雅彦など、現在活躍中の作家もいました。
- 書き忘れました。森鷗外は横浜港からドイツに留学、帰国後、あとを追って来日したエリーゼ(「舞姫」のモデル)と横浜港で別れ、帰国させています。
- 常設展の最後の方には若い時拾い読みした石原慎太郎のコーナーがあり、今でこそこわもての東京都知事さんですが、亡くなった裕次郎の映画写真も添えられて、懐かしく感じました。
- 撮影日:2009年9月19日。
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